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リアリズムとイギリス小説についての考察・リアリズムって何?
今回はリアリズム小説について書いてみたいと思います。まず「リアリズムって何?」ってことなると思いますが、まあ、簡単に言えば「現実をありのままに描く」ということになるでしょう。
リアリズムの歴史
リアリズムとは、ヨーロッパなんかではロマン主義(18世紀~)の反動として生まれた主張とされています。
ロマン主義とは、簡単に言えば理想主義的なものが中心にあってそれが強調されていたりします。
例えば正義の味方のストーリーとかは理想的な話が多いでしょ。 …ね。
これに対して、「現実はそんなに都合よく出来ていないぞ!」といって出てきたのが19世紀リアリズムの主張なのです。
じゃあ、その「決して都合のよくできていない現実」を表現するために、「現実はこういうこともあるかも知れませんよ」的なスタンスで様々な手法やストーリーが生み出されました。
それって本当にリアル?
でも、よくよく考えてみると、リアリズム小説の物語の中で起こる、「ご都合主義的でない」出来事の数々や発見などは、この小説を書く作者の頭の中では、ストーリーの一部としてすでに出来上がっている、ということが言えるわけです。
つまり、「リアルな世界」に似た世界を小説の中に構築することは確かにできた、ということが言えると同時に、すでに「リアルな世界」からは離れてしまっているとも言えてしまうのでした。
リアルな世界は、常に、人間の想像を超えたところにあるのだからこそ、「新しい発見」「社会の進化」がなされてきたわけです。
じゃあ、どういう小説を書けば「リアル」になるんだろう?
その疑問に応えるべく、19世紀リアリズムの概念を超えた表現を、実験的に行おうということで登場したのが20世紀の「モダニズム」小説だったのです。
新しいリアリズムのはじまり
J.ジョイスの作品なんかを読むと「意識の流れ」の手法なんていって、とめどもなく様々な思考が何の脈絡もなしに現れては消えるような展開があったりして、読んでいて何が何だかよくわからない感じになったりします。
で、今、しばらくの間、実際に自分の思考を観察してみてくださいな。
いろんな思考が実は何の脈絡もなしにあるいは突拍子もなく現れたり消えたりしているのがわかると思います。
モダニズム小説の目の付け所はそこにあったのです!
20世紀モダニズムの主張によって、小説のリアリズムは、より現実に近い表現になったということはできると思います。
ただ、問題点を挙げるとするならば、しっかりしたストーリーが不在の物語の展開などにより、「商業的に大成功するのは難しいかもしれませんね」、というところだったと思います。
何しろ、リアリズムの作家であっても、儲からなければ食べていけないわけですから。
でも、そのような問題があるにせよ、芸術家たちによる、このような「真のリアリズム」の探求の旅は現在でも続けられています。
「人生は筋書きのないドラマ」とはよく言ったものです。
また、「歴史」というのは英語で「history」ですが、これは「His story」、つまり「神のみぞ知る」ストーリーというのが語源である、と聞いたことがありませんか?
これを小説という形で表現しようとするリアリズムの作家たちの素晴らしい挑戦に乾杯!
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今回はちょっとカタい感じでしたかね。
学生の時の研究テーマを思い出して書いてみました。
最後までお読みくださいましてありがとうございます!
それではまた♪
Ciao’n ciao!!!!!